『トーク・トゥ・ハー』(ペドロ・アルモドバル監督 2002年制作/スペイン)を
17年ぶりで観ました。
当時、新しくできた新宿タカシマヤタイムズスクエアの中の映画館で観たのですが…
17年前とは印象も感想も異なる自分がいます。
ともに愛する女性が昏睡状態となってしまった二人の男を主人公に描く
究極の愛の物語
病室のベッドに横たわる若くて美しい女性アリシア。彼女は4年前に交通事故に遭い、以来昏睡状態に陥ったまま一度も目覚めることはなかった。看護士のベニグノは4年間彼女を世話し続けるとともに、決して応えてくれることのない相手に向かって毎日語り続けていた。一方、女闘牛士のリディアもまた競技中の事故で昏睡状態に陥っている。彼女の恋人マルコは突然の事故に動転し悲嘆にくれていた。そんなベニグノとマルコは同じクリニックで顔を合わすうちいつしか言葉を交わすようになり、互いの境遇を語り合う中で次第に友情を深めていくのだったが…
(KINENOTEより一部抜粋)
劇中、看護士のベニグノがアリシアをレイプし妊娠…
その罪に問われ投獄、アリシアのいない世界は耐え難く自殺をする―という展開があるのですが、その真偽のほどは明かされていません。
私にはペニグノがレイプをしたとは思えず(何となく告げ口した男が怪しい)、レイプ犯の汚名を被ったのは、アリシアと交わったのは自分であり、生まれて来る子供は自分の子だと思いたかったからではないのか…
アリシアが何者かに汚されたという現実を、受け入れたくなかったのではないのかと思うのです。
アレモドバル監督の『アタメ』もそうなのですが、ストーカーと純愛との境界線を考えさせられる映画でもあります。
17年前に観た時は、その純愛が痛いほど私の心には響いたけれど、今回はペニグノとマルコの孤独―
女性に依存する2人の男の弱さと哀しさを描いている作品にも見えました。
『オール・アバウト・マイ・マザー』、『ボルヘール<帰郷>』と共にアルモドバル監督の女性賛歌三部作の二作目として発表。
2003年アカデミー賞オリジナル脚本賞、ゴールデン・グローブ賞最優秀外国語映画賞ほか多数受賞の作品です。
Hable Con Ella (Talk To Her) - Official Trailer