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デヴィッド・ボウイの命日に遺作『★』(ブラックスター)を聴く



本日1月10日は、デヴィッド・ボウイの命日です。

2016年69歳の誕生日の2日後、18か月の闘病の末、肝癌により亡くなりました。

 

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その69歳の誕生日に発売されたアルバム『★』(ブラックスター) について、今日は書きます。

まずは2015年11月19日、タイトルトラック ★(Blackstar) が先行して発表されています。

カルト教団の秘密儀式をのぞくかのような緊張感のある世界ー「ある男の死」によりブラックスターの誕生です。


David Bowie - Blackstar (Video)

★(ブラックスター)

★(ブラックスター)

 

 

この曲に込められたボウイの気持ちを知りたく、和訳を含め色々なものを読んでいたところ、以下のようなブログを見つけました。

 

これは、Elvis Presleyの曲の歌詞である。正式タイトルは「Flaming Star」だが、通称「Black Star」とも呼ばれているらしい。そういえば、Bowieの歌詞の中に「Flamstar」というワードが出てくるが、それもこの曲に由来しているんじゃないだろうか。

Flaming Star (aka Black Star)- Elvis Presley

Every man has a black star
A black star over his shoulder
And when a man sees his black star
He knows his time, his time has come

人は誰でも ブラックスターを持っている
ブラックスターは肩越しにいて
自分のブラックスターを見つけたら
己の寿命を知る、死期が訪れたことを…

週末と終末 : YOUNG PERSONS' GUIDE TO DAVID BOWIEより)

 

 

ボウイは子供の頃、音楽好きの父親が買ってくるアメリカのポピュラー・ミュージックに親しみ育っています。

そして、ボウイとプレスリーは共に1月8日生まれ…

「ブラックスター」のタイトルは歌詞の内容からしても、プレスリーのこの曲から引用したと思われ、ちょっと鳥肌の立つ思い。


続いて、2016年12月17日にリリースされた最期のシングル ♪Laxarus(ラザルス)

クローゼットから出てきて、クローゼットへ戻っていくー

ボウイは自分の死までも芸術に昇華させ、消えていってしまいました…


David Bowie - Lazarus (Video)



見上げるがいい、俺は天国(ここ)にいる
この傷痕、見ること能(あた)わず
この趣向、これを出し抜くこと能わず
そしてその瞬間、誰もが俺を認識している

見上げるがいい、俺は危地(ここ)にいる
失うものなど、何もない
ただ興奮が過ぎ、めまいがする
携帯電話も下に落とすほど

俺らしいじゃないか…

ニューヨークに来るまで
俺は王さま気取りに振る舞ってきた
やがて、金も使い果たし
あいつを追い求めていった

これ以外に道はない
そうさ、俺は自由になる
あの青い鳥のように
俺らしいじゃないか

あぁ…俺は解放される
あの青い鳥のように
自由になる
俺らしいじゃないか…

( 訳:Beat Wolf )

 

さらに「ラザルス」は、オフ・ブロードウェイの劇場“New York Theatre Workshop”で昨年(2015年)12/7~1/20に限定公演されたミュージカル『Lazarus』のためデヴィッドによって創作された楽曲でもあります(『Lazarus』の主演はマイケル・C・ホール)。

この舞台は1976年にデヴィッドが初めて主演したカルト映画『地球に落ちて来た男(The Man Who Fell To Earth)』の40年後を描いた内容となっており、デヴィッド自らも脚本など共同制作者として数年懸かりで密かに精力を注いできたプロジェクトでした。

デヴィッドの突然の死を受け、ニューヨーク市は彼の長年に亘る芸術への功績に敬意を表しミュージカル『Lazarus』の最終日である1月20日を “David Bowie Day”とすることを定め、当日のカーテンコールで宣言書が授与されたそうです。

「ラザルス」デヴィッド・ボウイ I Wish~洋楽歌詞和訳&解説より)



ミュージカル『Lazarus』の舞台監督イヴォ・ヴァン・ホーヴェは、ボウイが癌を患っていることを知っていたごくわずかな人のうちの一人。

アルバム発売もミュージカルのプロジェクトも、発表の時期も含め一連の出来事すべてが、死期を悟ったボウイ自身が綿密に計画した、ファンへの贈り物であり別れのメッセージでした。

ラザルス
 

 
「騒がれずに逝きたい」「葬式はしないでほしい」と家族に語っていたその遺志をくみ、葬儀は行われず火葬されました。

「音楽を共有した“いい時間”だけを覚えていてほしい」
と望んでいたところも、ボウイは本当に真の芸術家であったのだと思います。

そして、タイトルトラック ★(Blackstar) の歌詞

映画スターではない
ポップスターではない
マーベルスターではない
私はブラックスターだ

のフレーズが、私には浮かんでくるのです。

メジャーなカルト・ヒーローと呼ばれたデヴィッド・ボウイの終焉は、最期の最期までカッコよすぎ。


連続投稿なんてブログ開設当初しかなかった私が、今回3日続けて記事を書きました。

ボウイのことを思い出し、音楽があれば幸せだった10代の頃に戻ったような気分です。

お読みいただきありがとうございました ^ ^
 

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